ズームコレクト #1 ~またここに来たいと思ってもらえるお店でありたい~ ショップマネージャー佐々木が語るCollectのリアル
はじめまして、クスナミキ・ギャラリーの杉と申します。
Collectとクスナミキ・ギャラリーが店舗を構えるのは、温暖な気候とゆっくりとした空気に包まれ、独特のカルチャーを育んでいる南国宮崎。Collectはこの地で創業して10年以上、頼もしい大先輩です。
そんなCollectは創業から変わらず「多様で上質なカルチャーに触れることで生活をより豊かなものに」をコンセプトにお店づくりを重ねてきました。クスナミキ・ギャラリーとも通じる想いです。
今回は良いご縁をいただきまして、今まであまり伝えられてこなかったCollectの“人”や“想い”にフォーカスを当てた話をお届けする[ズームコレクト]をスタートすることになりました。
まずは、Collect のスタッフってどんな人?
初回は、ショップマネージャーの佐々木 伸悟さんにお話を伺います。
きっかけは兄。移り住んだ街に育まれた洋服への情熱
今日は佐々木さんのお話を聞かせてください。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
では、早速。Collect に入って何年くらいですか?
10年くらい?あんまりよく覚えてないな(笑)
今年で10年経つのかもしれないですね。
長いんですね。Collect に入る前はどんな仕事をしていたんですか?
洋服屋もやったんですけど、洋服と関係のない仕事もしていて、物流の会社でサラリーマンをしていました。
大阪の方で?
そうそう、そうです。
18歳で宮崎の高校を卒業してから、大阪に7〜8年いました。大学生活の4年間を含めてなので、学生時代の方が長かったです。
進学で大阪に行って、そこで就職されたんですね。大阪時代はどうでしたか?
楽しかったです。大阪の人は良い意味で絡んでくる。人に興味がある人が多いんですよね。宮崎はシャイな人が多いので、道を歩いている時に知らない人に声をかけたり、なかなかしないと思うんですけど、大阪は何かしら声をかけてくる人が多かったですね。
中学生くらいから洋服が好きだったんですけど、こういう地方の街って限られた洋服しかないじゃないですか。ブランドも限定されたり。大阪で色んな服やモノを見て、色んな人に接して、こんなのがあるんだ!と一気に世界が広がった感じで、やっぱり洋服は楽しいなと思っていました。
都会だと、種類の豊富さと実物が見れるのがすごく良いですよね。
そうですよね。確かに確かに。
中学生の時にファッションに興味を持ったきっかけは?
5歳上に兄がいて、父も母も家族みんなけっこう洋服が好きだったんです。その影響と、その時に仲が良かった友達が洋服がすごく好きで、よく一緒に買い物に行っていたのがきっかけだと思います。そこから洋服にしかお金を使わなくなっていきました。
そうなんですね。5歳上のお兄さんの影響って刺激的ですよね?
そうですね。同い年でオシャレと言われている子はだいたいお兄ちゃんがいたな。みんなお兄ちゃんの聴いている音楽を真似して、着ている服を真似して、同世代よりちょっとマセているみたいな感じでしたね。
その感じ、ありましたね。じゃあ、お兄さんとは仲が良かったんですね?
兄とは今は仲良いですけど、子供の頃は正直全然仲良くなくて。5歳上で怖かったんで(笑)けど、兄が洋服を買ったら「こういうのがいいんだ」とか、靴も玄関に並んでいるのを見て「あ、格好良いな」という感じで、真似していました。5歳離れていると相手にされなかったですね。兄弟というより先輩って感じ(笑)けどまぁ、一番身近にいるので。
兄の世代って、ストリートカルチャーが強い世代だったんですよね。特に地方の街は、ストリートファッションが主流だと思うんです。全身黒でキレイなスラックスを履いて、革靴を履いたモードっぽいファッションの人はほぼいなくて、だからストリートしか知らなかったという感じです。
裏原全盛期ですね。その頃に初めて買ったファッションアイテムは何ですか?
WTAPSのTシャツです。
中学1年生の時に頑張って買いましたね。6000円くらいだったかな。
兄が着ていたから欲しかったんですけど、あれから始まっているなと思います。
それを手に入れた時はどんな気持ちでしたか?
もうストリートファッションに仲間入りしたような感じですよね。
僕は中学は野球部で休みがなかったので、お盆とかお正月の休日やお祭りに出かける時に着ていました。
まだ持っているんですか?
最後は寝巻きになったんですよね。まだ実家にあるのかな、もしかしたら捨てられているかもしれないです。黒い生地のTシャツで、もうだいぶ色褪せて限界は迎えていたので。
その頃はお小遣いで洋服を買っていたんですか?
当時はお小遣いとかお年玉ですかね。
着なくなった洋服を友達や後輩に売って、また新しいのを買うということもしていましたけど、おばあちゃんにもらうことが多かったですね。
なるほど、スポンサーがいたんですね(笑)
そうです(笑)高校生の時は宮崎に戻ってきていたので、延岡市で米作りをしていたおじいちゃんとおばあちゃんの手伝いをして、お小遣いをもらっていました。
佐々木さんは子供の頃は転々とされていたんですよね?
はい、生まれは宮崎なんですけど、幼稚園から小学3年生まで鹿児島にいて、小学4年生から中学2年生まで沖縄にいて、中学3年生から高校まで宮崎にいました。
おぉ、けっこう転々としたんですね。転々として良かったことはありますか?
そうですねぇ・・・何かありますかねぇ・・・
デメリットでも
デメリットかぁ・・・
今は宮崎が一番長いですし、地元は宮崎と言えると思うんですけど、沖縄や鹿児島に住んでいた時に地元はどこか聞かれても分からなかったですね。
転々としたことで、今のコミュニケーション能力が育まれたのでは?
確かにめっちゃ人を見ているかもしれないですね。
同じタイミングで転校してきて、うまく学校に馴染めなかった子もいたんですけど、僕はあんまりそういうことはなかったですね。このグループに所属したらいいんだ、とかなんとなく分かるみたいな。
それはすごいですね。じゃあ、新しい場所に入っていくことも抵抗がないですか?
ないかもしれませんね。入って何日目かでも前からいましたっけ?みたいな雰囲気ってよく言われます。
分かります。逆に10年もいるのに、その感じもしないですよね?そこがすごい!
そうですか?良かったです(笑)
またここに来たいと思ってもらえるようなお店でありたい
今はどんな仕事をされているんですか?
仕入れから販売まで全部やっていますね。
ECの方は、梱包するところだけですけど、お客様からメールでお問い合わせがきたらお応えしています。
仕事をしていて楽しいことややりがいを感じるのはどんな時ですか?
アパレルって2シーズンに分かれていて、シーズンごとに予算が立って年間の仕入れ額が決まっているんですけど、仕入れた商品が売れて良い成果が出た時が嬉しいですね。
バイヤーとしての読みがあたったり、会社に貢献していることが嬉しい?
そうですね。接客をしていて、お客様が気に入って購入してくれたというのも結果が出たことの一つとして嬉しいです。
はじめて接客した時のことを覚えていますか?
はっきりは覚えていないんですよね(笑)
僕たちのお店はそんなにかしこまったお店ではないので、「いらっしゃいませ」の次の言葉って「こんにちは」だと思うんですよ。そんな感じで普通にお客様と会話をしていたかな。
僕ら洋服屋って、どちらかというと、ちゃんとしていないとかチャラチャラしているって思われることが多いんです。だからこそ誠実に取り組むことが大切で「意外とちゃんとしているんだ、この人たち」みたいな良いギャップを持ってもらえるように気をつけています。その中で、親しみやすさや「またここに来たいな」と思ってもらえると良いなと思っています。
チャラチャラしていると思われるんですか?
そう思います(笑)保育園に子供のお迎えに行った時に、見た目がちゃんとしたお父さんがいっぱいいる中で、やっぱり僕って浮いているよなって。保育園の行事は、普段お店に立っている時より、抑え目な洋服で行きますもん。
パパモードでね(笑)TPOですね。
身だしなみには気をつけていますか?
そうですね、洋服が好きなのでそれなりのポリシーは持っています。
僕たちのお店で扱っているブランドの洋服を着ることが多いので、ブランドのコンセプトに合っているか意識していますね。
ブランドの直営店や東京の店舗の店員さんの着こなしを参考にして、僕たちもそうあるべきなのかなと思っています。
ポリシーというのは、洋服を着るための体型維持や雰囲気作りも含みますか?
僕は今35歳で、高校を卒業してから身長はなぜか1cm伸びたんですけど(笑)体重は変わっていないんです。けど、けっこう暴飲暴食するタイプです。あんまり体型維持のことは考えたことがないですね。
えーすごい!体型に出にくいんですね。
でも最近は体力が落ちてきているので、散歩はするようにしています。毎日7000歩を目標に。
7000歩は、なかなか大変じゃないですか?
自転車で通勤しているので、その往復でだいたい2000歩くらいはいくんですよ。
それと、店頭で走り回ったら、散歩せずとも7000歩はいくかな。ちょっとゆっくりな日は、若草通り周辺をテクテク歩いています。
宮崎生活は車移動が主で歩かなくなるから、散歩はいいですね。自転車にもこだわりがあるんですか?
全然なくて、見た目が格好良ければいいかなと思っています。
どこのメーカーのに乗っているか自分でも分からないんですよね。今は2台持っていて、1台はシュウィンというメーカーで、もう1台は本当に謎メーカー(笑)
けど、パンクしたりすると時間があれば自分で修理します。タイヤ交換とかメンテナンスは基本自分でやっていますね。
謎なんですね(笑)ステッカーがたくさん貼ってある自転車ですよね?
そうです、それです!そっちの方が乗っているかもしれないです。
たまたまリサイクルショップに置いてあったのを見つけて、「あーいいかもな」と思って、買ってそのまま乗って帰りました。ステッカーは、元のダサさを誤魔化すために貼り出したんです。家にあったのとか、メーカーからもらったものを。
そういう感じでラフに買われるんですね?
そうですね、けっこう衝動買いしますね。
洋服も?
学生の時ってお金がないじゃないですか。お店以外の洋服は、当時欲しかったものが今ネットにないかなって探して買うことが多いです。
衝動買いというよりも、前から欲しかったから今買っておこうという感じで。
そういったファッションに関しての情報は、どう収集しているんですか?
昔の方が色々調べていて、その知識を活かしているのかも。
店頭に立ってお客様がどういうものを欲しているかを見ていたら、どういうニュアンスのものが売れているか把握できますね。
じゃあ、肌で感じる生きた情報ということですね?
はい、後はブランドのデザイナーさんやスタイリストさんのブログを読んだりします。着こなしを参考にしたり、真似はできないですけど基礎知識として持っておこうかと思って。それと、WEBマガジンのコラムを読むことが多いです。
読みやすいオススメのWEBマガジンはありますか?
HOUYHNHNMの『古着サミット』というコラムがあるんですけど、有名な古着のバイヤーや洋服のデザイナーが4人で対談するコラムで、めちゃくちゃ洋服に詳しい人たちが話しているので面白いですね。洋服の原型って軍ものだったり、そういう背景を知るとロマンを感じます。
HOUYHNM
https://www.houyhnhnm.jp/
商品の作り手の気持ちやストーリーを知ると、買った後の満足度が上がりますよね。思い入れが深くなります。
そうですよね。
好きなものはずっと変わらない、だから買って温めちゃうんです。
思い入れが深くて、手放せない洋服はありますか?
10年以上着ている洋服はたくさんあって、一つに絞るのが難しいんですけど・・・
それこそ僕たちのお店で扱っているヨウジヤマモトやコム・デ・ギャルソンのアイテムは、学生の時にけっこう買っていて、今でも着ているものが多いですね。思い入れがすごくあります。
正直着ない時期もあって、けど、その時の気分じゃないだけで、置いておいたら着る時がまた来るんです。買って温めるっていうこと、僕けっこうしちゃうんで。スニーカーとかも、買って履かずに2〜3年置いておくことがあります。
へぇー!それが出てくる時が来るんですか?
いつか出てくるんですよ。
古着屋さんだとこういうこと多いんですけど、真夏のめちゃくちゃ暑い時にちょー格好良い革ジャンがあったら、僕は買うんですよ。それと同じ感覚なのかな。今買わなかったら、もうないかなみたいな。今期の流行アイテムです!みたいなのがあんまり得意じゃないんだと思います。
でも、全部温めるわけじゃないですよ(笑)お店で、気に入ってそのまま着て帰られるお客様を見ると、いいなぁと思いますし、喜んでくれているのが嬉しいです。
洋服を買う時の満足度って何個かあると思っていて、ほとんどの人は買った時とそれを着てどこかに出かける時がテンションが上がる時ですよね。僕は買うと着るの間に、家で眺めている時もけっこうテンションが上がります。
それ、面白いですね。プロダクトとして好きということなんですね。
着て、汚れたら洗うじゃないですか。洗った後の水を含んだ時の生地感が重要だと思っていて。僕はコットンとか天然素材が好きなので、水を含んだ後にこの生地は良いなと思える服が好きなんですよ。
コモリは、洗って干している時の生地が本当に良いなぁと思いますね。最初に製品洗いをして、初めから肌に馴染むように作っているんでしょうね。
本当に、コモリは着心地が良いですよね。手放せない洋服の中で、佐々木さんが特に大事にしている1着を教えてください。
ルイスレザーのライトニングっていうライダースです。
今まで色々なライダースを着てきましたけど、これを着たら自分の身体に一番しっくりきたんです。
裏地が赤のキルティングのものがメジャーですけど、僕のはブラックフリースなので、暖かい宮崎でも長く着れるんです。一生一軍の服ですね。ライダースはこれと決めています。
洋服と同じくらい情熱を傾けているものはありますか?
ないかもしれないです。洋服が一強なんですよね。
人並みに音楽とか食べることも好きですけど、洋服と同じくらいというのは他にないと思います。
じゃあ、コレクションしているものは?
めっちゃありますね。
スニーカーと帽子とバッグは、手放すタイミングが分からないです。そんなにボロボロにならないようにしますし。
やはり全部ファッションアイテムですね。洋服の好みはずっと変わっていないんですか?
割りと変わっていないと思います。
根っこはストリートカルチャーが強めなので、コモリとか品があるブランドを自分が着るとストリートっぽくなっているなと思います。
今まで一番お金を使ってきたのは洋服ですか?
絶対そうですね。
もし何に使っても良い100万円をもらったら、何に使います?
全部洋服に費やすかもしれないです。
以前、スタイリストの伊賀大介さんが「10万円もらったら、全部洋服に使わない方が良いよ」と話している記事を読んだことがあって、音楽とか食事にも使った方が成長できるから、という理由で。それを思い出すといけない使い方をしていると思いますけど(笑)
そこまで愛しているものが仕事になるって良いですね。
ありがとうございます。
好きなことを仕事にするのって良い面と悪い面があると思うんですけど、どうですか?
良い面は、同級生とご飯に行って話している時とかに仕事の愚痴や不満が出てこないなと感じますね。僕も大変なことはあるけど、「まぁいいか、好きなことだし」と消化できます。大変な時はめっちゃ大変なんですけどね(笑)
成果が出ていない時?
そうです、それです。
悪い面は?
悪い面は、洋服にお金を使っちゃうこと。目の前に並んでいたら、やっぱり欲しくなって買っちゃうんです。
最近、購入したアイテムはありますか?
ナイキのエアトレーナーです。
エアトレーナー以外にも、エアリフトとかモアアップテンポとか、ナイキの復刻モノは良いですね。
私、洋服を選ぶのに悩みがあって。今シーズンのこれが好きだからこのブランドが好きだと思っても、次のシーズンがあまり好きではないということがあって、彷徨うんですよ。
なるほど、一つのブランドに絞らない方がいいかもしれないですね。
いくつか気に入っているブランドを持っておいて、その中でシーズンによって選ぶ方が良いと思います。
ブランドごとに強いカテゴリがあって、ギャルソンだったらシャツが強いですし、ヨウジだったらパンツが一番人気があるんですよ。ブランドごとに特色があるので、自分が好きなものを組み合わせて、着る人が自分なりに編集して着れば良いと思います。僕もこのブランドしか着ないということはないですよ。
仕事の日は時間がズレている分、オフは家族と過ごしています。
仕事がお休みの日はどう過ごすことが多いですか?
平日のお休みは、一人でいることが多いです。土日だったら、家族と過ごしますね。まだ子供が小さくて大浴場に入れないので、貸切の家族風呂に行くのが好きです。宮崎県内のお風呂によく行きますよ。
オススメのところはありますか?
宮崎県小林市にある『美人の湯』の貸切風呂がめっちゃ好きです。
こばやし温泉 美人の湯
https://bijinnoyu.tokiwa-kai.or.jp/
佐々木さんは男の子二人のお父さんですもんね。子育ては大変ですか?
いやー、僕はほとんどやっていないので(笑)大変とか言ったら妻に怒られちゃいます。
子供たちはママがいいじゃないですか。どっちかってなったら、二人ともママにいくので、妻は大変だろうなって思います。
それに寂しさを感じます?
あんまりないですね。まあまあ、これが日頃の実績ですかね(笑)
できる時はやるんですけど、絵本を読む時にセリフのところで声を変えたり出来ないので、僕が読むと子供たちは面白くなさそうだし、盛り上がらんし(笑)闘い系の体を動かす遊びの方が良いですね。
役割分担ですよね。じゃあ、平日のお休みは?
スパイスカレー屋さんやサウナに行っています。
サウナは好きですけど、熱狂的ではなくて、疲れた時に行ってみようって感じです。
カレー屋さんは、一ツ葉の『ルーデリー』か、Collectのご近所にある『テンカリー』によく行きますね。
仕事の日にはご近所で行きつけの『ラクサ』でランチをすることが多いです。ランチタイムを遅くまでやってくれているし、居心地が良いんですよ。
食べることが好きなんですね。ストレス発散やリフレッシュ方法は?
本当に暴飲暴食かもしれないです(笑)
堅あげポテトとかカラムーチョとかチートスとか、お菓子が大好きなんですよ。この前はその辺を5袋買ってきて、一気に食べようとしたんですけど4袋半くらいで限界でした(笑)
チャレンジすること、心を込めて仕事をすること
Collect の仕事の特徴を教えてください。
大きい会社ではないので、言われたことだけやっていてはダメなんだと思います。
うまくいったかいかなかったかは別にして、自分で考えて、やってみることが大事な会社だと思っています。
正直、社長からは店舗のことや商品のバイイングのことで具体的に指示されることはほぼないので、自分で考えてやっています。社長には、やっていて困ったことがあったら相談する感じで、良い意味で自由だと思っています。そこが面白さでもあって。社長の考えに縛られている会社ではないですね。
前向きなチャレンジだったら、もし失敗してもたぶん許される、と勝手に思っているんですけど(笑)社長は、僕らが失敗しても責めることはなくて「じゃあ、次からどうする?」という感じなので、それはすごくチャレンジしやすいです。
自発的にチャレンジできる環境は魅力的ですね。佐々木さんはショップマネージャーになって、販売チームを引っ張る役割ですよね。
今は僕より歳下のスタッフもたくさんいるけど、僕が歳下の時代がめっちゃ長かったんですよ。永遠のルーキーみたいな(笑)だからずっと後輩みたいな感じでしたね。
若いスタッフにめちゃくちゃ気を遣っているわけではないけど、距離感は考えますね。距離を縮めたいけど、みんなそれが好きなわけではないじゃないですか。難しいですけど、ちゃんとコミュニケーションを取りながら、仕事としてお互い心地良い距離感が良いのかなと思います。
あと、これを言われたら嫌かなと思うことは言わないようにしたり、話す時は内容もタイミングもよく考えますね。ちょっと厳しいことも言わないといけない時もあるんですけどね。あくまで会社なので、ピリッとする時はあります。
でも感情的に伝えないように気をつけているんですね?
そうですね。もし失敗したらまずは話を聞いて、ちゃんと納得できる理由があれば良いけど、なければ、次からはこうしてねって話しますね。
でも、接客についてはあまり細かくは言わないんです。それぞれの持ち味が違いますからね。みんな良いところがあります。
良い接客はどういうものだと思いますか?
相手を気持ち良くさせることですかね。話したい人には聞き手に回り、話すのが得意じゃない人には僕たちがリードして会話を進めていく、色々な人に合わせていく仕事です。
仕事で信じていること、大切にしていることはありますか?
うーん、難しいですねぇ・・・
職場のトイレに貼ってある言葉で、
「心を込めて仕事をしなさい。そうすればあなたは必ず成功する。なぜなら、そういう人はほとんどいないからだ。 ーエルバート・ハバード」
というのがあって、すごく共感していつも意識しています。
やっぱり気持ちの良い接客をするお店は活気があると思いますし、オーダーをつける時も色々なデータを見て、細かく丁寧にやるようにしています。
佐々木さんの振る舞いを見ていると、どんな時も心がこもっているなと感じます。
ありがとうございます。
自分の仕事はお客様に支えられている仕事です、完全に。
お話を伺って
「動物の種の保存」が動物園の使命であるように、「ファッションの歴史的名作の保存」が佐々木さんの使命であるとさえ思わせるブレないプロダクト愛。佐々木さんの「洋服が好き!楽しい!」という気持ちの純粋さは、ファッションに目覚めた中学生の頃からずっと変わっていないんだろうなと感じました。仕事に対しては責任感や厳しさも感じられましたが、お客様やスタッフの居心地の良さへ心を配り、心を込めたお付き合いが信頼に繋がっているのだろうと思います。
[聞き手・文:杉 瑠美/クスナミキ・ギャラリー]
次回は、販売スタッフの山内 喬麗兵(きょうへい)さんのインタビューをお届けします。
佐々木さん、山内さんってどんな人?
控えめな接客をするタイプで、20代前半のお客様から慕われています。
あと、見惚れちゃうくらい男前ですよね。