J.PRESS定番のブレザー同様に、創業当時より時代別にトラウザーズも展開されていますが、ノープリーツのバック尾錠付は1950〜1960年代あたりに一番多く見受けられます。既製服の展開もあり、万人に対応するパイプドステムでモモから裾へかけてのストレートシルエット、多少のウエストに調整がきくように考えられたディテール。さらにこの時代にアイビースタイルという流行で脚光を浴び特徴的なディテールであったため。
今回のトラウザーズはアーカイブをベースとして継承しているデザインを、CIOTAオリジナルのチノで仕立てています。
アメリカントラッドの象徴とも言える、このJ.PRESSのパイプドステムは、ほぼテーパードしていないストレートシルエットでベルトレスでも履ける調節可能なバックシンチ仕様。腰ポケットに隠されたバーティカルカービングポケット、これはサイドシームに合わせウエストに設けられる一般的なバーティカルポケットですが、実は型紙上はポケット口が弧を描いておりこれを直線状に伸ばしながら縫うことで絶妙な立体感が生まれ、手も入れやすく着用時にもポケットが開いてみえないという特徴があります。
使用している生地は、タテ糸・スビンコットン 20/1、ヨコ糸・スビンコットン10/1 を使用し、ヴィンテージ生地を表現したスビンコットン 100%のチノクロス。タテヨコ単糸使いですが、スビンコットンの特質からザックリしつつ、圧倒的しなやかな表情を持つ仕上がり、高密度×高打ち込みの設計で製織された生地です。本来は織りたての生機は固く高密度なら更にそうなる所、スビンコットンの持つ特性で仕上げをする前から劇的に柔らかくしっとりした特有な上がりです。その生機を染めて仕上げをするにあたり、不要な薬剤は極力使わず素材が語る意味合いの加工を施して仕上げています。スビンの太番手素材は、洗えば洗う程、使い込んでいく程に風合いが良くなっていきます。他の綿素材とは違い、ヴィンテージ感も繊細でエレガントになっていきます。