バックサテン生地を使用したワイドなストレートシルエットの新型ベイカーパンツ。尿素釦やダブルステッチのポケットなど、デザインとディテールの仕様は1970年代前半 アメリカ軍のU.S. ARMY UTILITY PANTS (ベイカーパンツ) がモチーフ。
サテンの織り方は通常 朱子織 (しゅすおり) と言います。バックサテンは裏朱子織と呼ばれ生地の裏面がサテンの織り方のため裏面の光沢がある織物です。耐久性もあり、軍モノ系の定番素材としても多く使われてきた素材。バックサテンの特長は裏側の糸が長くわたる面が肌触りもよくツルツルとした触り心地、滑りの良さも特徴の1つです。横糸が表側に多く出るため、横糸の素材感が出やすく高密度×高打ち込みでも柔らかくソフトな風合いになる組織です。
この素材の開発にあたり最大のポイントはヨコ糸に使用するスビンコットンで どのようにオマージュした製品の様な味のあるムラ糸を再現出来るかと言う事でした。ムラ糸やスラブ糸は通常既存に多くありますが、特に太番手は繊維長の短い綿や落ち綿と言われる綿を使用します。この糸はスビンコットン100%の綿から別注で糸を引いています。独自のムラ感も再現するには詳細の設定が難しく試作として糸を紡績する際にも何回かの調整を経てようやく糸が完成。経糸20/1、横糸スビン ムラ糸8/1は素晴らしい質感に仕上がっています。こちらも加工はスビンコットンの風合を活かすため、よけいな樹脂はあえて使用しない、レギュラー加工です。洗えば洗う程、風合は良くなっていくと共に、エレガントで質実剛健、経年変化も楽しめる素材です。